2014年08月23日

シミュレーションする心 ---- 「もし、○○○ならばどうなるか」

たまには、末端のエンジニアとしての記事を書きます。

 少し以前、ある集まりで弊社の技術を紹介する機会を与えていただきました。
しどろもどろの拙い説明の後の質問の時間に、かなり経験豊富と推測される方から「SPICEは、浮遊成分などを含めて回路を正確に表しているわけではなく、私は信用できない。」というようなコメントがありました。そのときは、「高価にはなりますが、その要求に応じて解析ツールを選ぶしかないのでは、」というような回答をさせていただきました。以下のようなことが頭にあったからです。

回路分類  理論体系              代表的なシミュレータ
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第一分類  オームの法則,キルヒホッフの法則  SPICE
第二分類  電信方程式,伝送線路理論      高周波回路シミュレータ
第三分類  Maxwell の方程式           Sonnet
第四分類  Maxwell の方程式           HFSS
第五分類  Maxwell の方程式           FDTD


引用元:「波長による高周波の分類とそれぞれの性質」
    -----高周波に取り組む前に知っておくべき概念
    有限会社ソネット技研
原文はPDFで、ここより入手可能です。
http://www.sonnetsoftware.co.jp/


 確かに、質問された方の言うとおりなのですが、今更ではありますがよく考えると何かちょっと違うという気がしてきました。

まず、回路について何らかの検討をするのであれば、基本はオームの法則やキルヒホッフの法則。どんな高尚な回路も基本の上に成り立っています。高尚なツールを使いこなすにしても、基本のツールを理解していることは、無駄にはならず必ず役立つだろうと思います。

もし、シミュレーションという行為自体に懐疑的なのであれば、少し先入観を取り払って、試してみることが必要なのかも知れません。
シミュレーションという行為の結果が、実機と寸分違わないものでなければ価値がない、と考えることは、基本的に間違っていると思います。
その理由について、詳しくは、過去記事を参照願いたいのですが、シミュレーションする最大のメリットを一言で表せば、TIの人気女性シニアエンジニアBonnie Baker氏の言葉を借りると、

「もし、○○○ならばどうなるか」というアイディアを簡単に試すことができる。

一度、モデルを含めて解析用の回路を作りさえすれば、簡単にいろいろ試せるので、想像以上に回路への理解を深めることができる筈です。これは、やってみて実感してもらうしかありません。


参考
○過去記事「シミュレーションの思想」

抜粋しようと思いましたが、記事後半部分はどれも重要に思えたので、下に再掲します。

○過去記事「SPICEを効かせる」


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「シミュレーションの思想」
 広瀬 通孝, 田村 善昭, 小木 哲朗 (著)
 東京大学出版会 (2002/10)

抜粋

・試しに何かやる必要があるか否かは、ある種の価値観あるいは経済的感覚と関連する。成功確率をできる限り高めようとするために最も有効な手段が、「試してみる」ということ。シミュレーションとは、複雑な対象を管理、運営、開発するために必要不可欠な手法である。
・シミュレーションは「本番」に対する「試行」。「試行」は簡単であればあるほどよいが、あまりに簡単すぎて、「本番」において起こるであろうことを予想しきれないのでは困る。反対に本番を完全に二回繰り返すのは、明らかに非効率、不経済。
・何か事を起こすにあたり、あらかじめいろいろな案を試行錯誤することによって、最適案を吟味しておくことは大切なことである。対象が単純なものであれば、何回も実際に試してみることができるが、複雑で高価なものの場合はそうもいかない。
・効率のよい「試行」を行うためには、それが「本番」のエッセンスを含んでいなければならない。それをモデル化という。現実のエッセンスを抜き出し、単純化するということが、シミュレーションの本質であるといってもよいぐらいである。だから、シミュレーションとモデル化は切っても切れない縁がある。実物の持つ本質的な部分のみを抽出して、何らかの形の情報圧縮を行うことによって、実物よりは取り扱いやすく、安価な対象を作り上げる。これがシミュレーションを行ううえでの秘訣。
・シミュレーションとは、実物をそのまま使用しなければまったくモデル化が不可能なほど複雑な状況でもないような問題に対し有効な手法。
・一般に、抽象度を上げれば上げるほど問題は単純化し、解くことは簡単になる。しかし、その一方で現実のディテールが捨象され、真の解答からは遠ざかることになる。したがって、適切な複雑度のモデルを作り上げることが、シミュレーション・エンジニアの腕前となる。
・シミュレーションをどのくらいの精度で実施すべきか。この問題に答えるためには、じつはかなり職人芸的なセンスが要求される。規模すなわちモデルの複雑度はできるだけ小さいほうが望ましい。費用対効果という問題もさることながら、あまり細かいモデル化を行うと小さな誤差の積み重なりによって、精度が低下する場合もある。何がなんでも現実に忠実な構造を有するモデル化が最適というわけではない。シミュレーション技術の本質部分はじつはそこにあるが、それを書物によって伝えるのはなかなか難しい。
・そもそもシミュレーションという手法自体、自己矛盾的な部分を含んでいる。未知の問題を計算機による模擬実験で検討しようとする場合、その答えが正解である保証はあまりない。わかりきった問題であれば正当性を証明できるであろうが、それでは何のためにシミュレーションをするのかわからなくなってしまう。
・現実とシミュレーションの間の境界部分のどこに線を引くべきかは、シミュレーションという体系の中からは答えることができない。これは技術全般についていえる。使いこなす人間の自身の見識によってこの問題を解決していくべき。
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2014年08月15日

昔、自動車のCMで聴き、CDを買いました

自分でも割と守備範囲は広いと思います。
確か、カンツォーネ・ベスト20という企画物でした。
イヴァ・ザニッキ  「心遥かに」
イタリア語の歌詞の意味は分かりませんが(ネットで見るとどろどろした恋の歌のようです。)、今日は終戦記念日。事故が収束し、米国の起こす戦争には加担せず、平和が続くことを祈ります。

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2014年08月12日

コピペ総理を前にした一市民のスピーチ

忙しさに紛れ、放置したままでした。
残念ながら、その間も日本は、すばらしい指導者たちに導かれ、ますます悪の道を突き進んでいます。

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