2015年01月25日

いまだ人間を幸福にしない日本というシステム(1)


著者:カレル・ヴァン・ウォルフレン 訳:井上実
角川文庫(角川学芸出版) 2012年12月初版

著者カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel van Wolferen、1941年4月 - )は、オランダ・ロッテルダム出身のジャーナリスト、政治学者。現在はアムステルダム大学比較政治・比較経済担当の名誉教授。(Wikipediaより)

1994年に毎日新聞社より刊行された『人間を幸福にしない日本というシステム』を、大幅に改定、第三部を書下ろしのうえ改題・新訳した文庫オリジナル版。

[目次]

第一部 よき人生をはばむもの

 第一章 偽りの現実と社会の檻
 第二章 巨大な生産機構
 第三章 停滞する社会の犠牲者たち
 第四章 民主主義にひそむ官僚独裁主義

第二部 日本に運命づけられた使命

 第一章 日本の奇妙な現状
 第二章 説明責任を果たそうとしないバブルの張本人

第三部 日本人はみずからを救えるのか?

 第一章 さらなる変化に見舞われた世界
 第二章 不確かな日本の新時代
 第三章 日本民主主義の可能性


[抜粋または要約]: 第一部 第一章 偽りの現実と社会の檻

・本書の一番重要な目的
日本での人生をよりよくするために、この国の変化をうながすよう、読者であるあなたも手を貸すべきだ。

・日本を変えるための基本概念
「市民」という概念
市民はつねに自分たちが置かれた現実を知り、社会がどうなるかをもっと理解したいと考える。周囲の状況について、間違っていると感じることがあればいきどおり、積極的に働きかけようとする。
「偽りの現実」という概念
日本は専制国家でもなければ、政治的に見ても全体主義体制ではない。それでも政治や社会の真実から離れた偽りの現実が、日本のいたるところに深く刻みつけられている。
「日本では民主主義は実現するにいたらず、いまだ可能性のレベルにとどまっている。」
日本での民主主義の誕生をさまたげる最大の障害こそが、日本の人々の心を占めるこの偽りの現実である。

・無知をうながす伝統
 知識の乏しい人間は、必然的に、社会的に優位な立場にある者に支配されやすくなる。政府にとっては支配者の意図や手口についてなにも知らない無知な国民ほど、操り欺きやすい。日本では、この手法が徳川独裁政権の持続に使われ、今もなお支配者がひそかに権力を行使する一方で、一般の人々は、事実を知らされないまま、架空の現実を受け入れ続けている。一方に、官僚、インテリや編集者、官僚にくみする一群の人々や、そのほかの役人のような「知る者」がいて、他方に政治的に無知な人々がいるという構図は、今日にいたるまで何世紀にもわたって続いている。日本で官僚による権威主義が成功したのは、重要な知識を一般大衆に与えようとしなかったからだ。

・「しかたがない」の政治学
 官僚や経済機構の役人たちが日本をどのように管理しているかは、たてまえの陰に隠されているのでわからない。日本の市民たちの明日、そして遠い将来に影響をおよぼすようなきわめて重要な事柄が、おおやけに議論されることはない。それを物語る事例は大蔵省(当時)の関与で発生し、終息した「バブル経済」である。最近の例では福島原発事故で役人たちは、日本の市民たちに事実の一部のみ、あるいは完全に間違った事実しか伝えていない。官僚たちは面子を保つため、あるいは正確な内容が明らかになれば決して国民に支持されないような計画を押し通そうとして、人々に無意味な説明をする。しかも日本の新聞の大半は、市民に政治の、そして究極の現実を伝えることがみずからの使命だとは考えていない。彼らは市民たちを「純粋」かつ政治的に無知な状態にとどめておくのに協力する。メディアは日本の生活や経済、政治について、実態とは異なる、あくまでたてまえの現実「管理」に協力している。
その結果、本当の現実を探り出せたとしても、日本の市民たちは、この現実からどうにも逃れられないと感じ、「しかたがない」という政治的な無力感に従って、明らかに間違った規則をやむなく受け入れている。

・問題は「腐敗した政治家」ではない
 おもて向きは民主主義国である日本が、なぜいまだに官僚たちにがっちりと牛耳られているのかは、日本の市民がつねにみずからに問いかけるべき一番重要な問題のひとつである。なぜなら官僚は市民によって選挙されたのではないからだ。国民に選ばれた代表者が彼らを任命したわけでもない。彼らが権力を握っているのは省庁で働いているからにすぎない。
日本にとって一番害が大きいのは、「政治家の腐敗」こそがこの国でもっとも重要な政治問題とされていることだ。これは事実ではない。しかし、この幻想こそ、戦後日本の政治システムを維持するうえで、もっとも重要な意味を持っている。
多くの人々は心のなかで、政治家には国を統治する資格がないと考えている。結局国の運営は官僚にまかせておいた方がいい、ということになる。官僚は、私利私欲を離れ、日本の国民にとってなにがベストであるかをつねに考えて努力している、と見なされている。もちろん現実にそんなことはあり得ない。しかも新聞各紙は、政治家に対する人々のいきどおりが衰えぬよう、大変な努力をしている。残念ながら、現実には日本の政治家を攻撃すれば、現体制を維持しようとするあらゆる(政治家以外の)政治エリートたちに手を貸すことになるのだが、人権家や政治活動家たちはその事実に気づいていないらしい。
日本の政治家にはモラルが欠けているとして、人々の怒りがそれに集中してきたがために、『権威主義的な日本の官僚システムが民主主義を妨げている』という事実が見えなくなった。
許認可を与えたり、それをとり下げるといった行為、行政指導や通達というのは、官僚の判断にまかされている。ヨーロッパの大半やアメリカなどの民主的社会では、それは制約なく行えず、法律がそれを制限している。日本にも法律はあるのだが、こうした法律を考えた当の官僚がそれを解釈しているため、尊大な役人たちの独断的な判断でそれらの行為が行われている。このことが国民に十分に理解されていない。官僚は、国民にとってなにが最善であるかなど一向に考えようとしないくせに、自分では望ましい日本社会を維持していると思い込んでいるのだ。
政治家は市民にとってなによりも必要な存在なのであって、彼らに不信の目を向けている場合ではない。日本社会という檻のカギを探し出し、それを開けることのできるものは政治家しかいない。
 

[私の感想]
 この第一部第一章は、この本の概要と問題提起をしている章だと考えます。
人が生きていく上では、いろいろな障害も多くありますが、そんな中でも自分なりに精一杯努力したり、我慢しながらやっていくものだとは理解しています。それでも私は(末端に位置しているのですが)、今のこの国の現状をどうしても看過することができません。統治システムが破綻し、危機的状況にあると思います。
それに気付いたのは、これまでの繰り返しですが、3年10ヶ月前に知らされないままに浴びせられた放射能によってです。福島県民だけではなく、食べ物等を介し全国民も被害を受けているはずですが、それは「偽りの現実」に覆い隠されています。国民の健康被害やいまだ危険な状態の事故現場からの地球規模の汚染を心配している人はほんの一握りのようです。
 1994年のオリジナル版から言えば、もう二十年以上も前から、こうして明確な論旨で警告を発している人がいた訳ですが、まったくといっていいほど、この国の統治システムに改善は見られていません。どうすればよいのか? オリジナル版は33万部のベストセラーになったそうなのですが、内容に共感し、その対策を実行にうつす人はいなかったということなのでしょうか。わずかにいても、既得権益者たちに冤罪を仕掛けられ、つぶされてきたということでしょうか。
 もう一点忘れてならないと私が考えるのは、悪の手先となって大本営発表を延々と続けるマスコミの罪は、主犯に比べても勝るとも劣らないほど重いということです。
 市民として、重要視しなければならないのは、政治家は唯一市民の声を政治に反映できうる存在であり、官僚、御用学者等は、市民の味方ではないということ。本来、市民の味方で、管理者の不正を糾弾すべきジャーナリズムが、管理者側に立っていることに十分注意して情報を捉えるべきであることに、多くの国民が気づいていないと私は思います。
「そんなことはない。世の中をそんなに悪く考えてはだめだ。」と考えている人がきっとほとんどなのでしょう。そう思いたいというのが本当のところなのかも知れませんが、そうであっても、その考え方からは現状は変わっていきません。非常に残念なことです。

 著者は、政治家を大切に、と訴えていますが、市民の代表であり市民にとって何が最善かを考えるべきなのが政治家なのに、現実として頼りになる人たちは数えるほどしかいない、と私は思います。市民の目と耳であるべき報道機関は、おかしな連中に牛耳られていると感じます。
この国の現状を問題であると認識し、自分も行動しようとする市民が一人でも増えることを望むばかりです。


[参考]
注目の人 直撃インタビュー
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏「安倍首相は絵空事だらけ」
posted by シムサーキット at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月03日

偏屈オジサン、この国の統治システムに危機感を抱くの巻

 私は、3年9ヶ月前までは全くのノンポリ(Non-politics)で、何か変だとは思いながらも、どうせ自分ひとりでは何も変わらないと諦めていました。多分多くの国民もそうは思っているのかも知れません。ノンポリの証拠に、私なんか、2009年の民主党の政権交代劇でも、誰に投票したかも覚えていませんし(ただの老化?)。

 それでも、前々福島県知事の佐藤栄佐久氏が収賄に問われ失脚したときは、国に逆らって、後に爆発することになった原発を停止させていたために、ハメられたとは気づいていました。それでもまだ他人事としか捉えていなかったのか、今ほどの危機感は覚えませんでした。
そのあと、佐藤雄平という愚かな人間が知事になり、国の指令と立地町長らの要望を受け、せっかく停止していた福一原発を再稼働させ、地球規模の汚染という惨劇のお膳立てをしたことは、絶対忘れてはなりませんが。
更に付け加えれば、国の指令どおりに県民健康調査と称した健康被害の隠ぺい工作を主導した責任も彼にあると私は考えています。それは現知事(当時の副知事)にも綿々と受け継がれていますが、破綻しかけていることは気にしている人なら分かると思います。

 その後、3.11の降りかかる放射能の悪魔の火の粉という現実に対し、政府・役人・NHKをはじめとしたマスコミの報道・権威ある学者の話の、あたかもほんの幼子を馬鹿にするような、信じられないような対応を目の当りにして、「何だこの国は!? どうなっているんだ!?」と初めて愕然としました。

 しかし、私の周りを見ても、こんな悲劇を経験し、まだその真っ只中に居ても未だに何も感じない人がいかに多いことか・・・・
まだ、権力者側にいるから、何が起ころうとも責任は取らなくていい、永遠に現状を維持することが善なんだという立場の人は、完璧に間違ってはいるけれども理屈には合っています。でも、明らかに市民側に居て、何も感じないでマスコミの言いなりになっている人は、私には理解できません。

 この国がこんな状態なのは何がそうさせているのか、何故なんだ、とずっと考え、調べ、学んできました。その結果、大体こういう事なんだろうという自分なりの結論に近づくことができました。

その情報源の根本は、インターネットです。これまでの記事でも何度も参照させて頂いています。その中から辿り着いた書籍としては、他にもあるでしょうが、私としての現時点での最大のお勧めは、以下の2冊です。この国がどのような統治システム下にあり、何が問題なのかを知りたい方は、騙されたと思って是非読まれることをお勧めします。

 今後、ご紹介と自分の理解を深める目的を兼ねて、抜粋をまとめていきたいと思っています。とりあえず、書籍名の紹介のみしておきます。

posted by シムサーキット at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月02日

東京オリンピックに違和感を感じている変人の戯言 

 このラジオを聴いたら、年ばかりとっても人間が未熟なので、またまた怒りが抑えきれなくなったので、タメ口をきかせてもらいます。なお、お笑い芸人「おしどり」のお二人やフリージャーナリストの木野龍逸さんの取材活動には、大変感謝しております。本当に頭が下がる思いです。


金・人・物を東京オリンピックに投入しないで、事故収束、健康被害の監視に使うってのは駄目かなー 駄目だよねー

天皇陛下も「放射能汚染」という言葉を使い心配されていたけど、福島県民以外は関係あってもないことにされてるものねー アンダーコントロールだし 本当は益々ダダ漏れみたいだけど

それと、原発の立地市町村は、事故が起きたら周辺市町村にどう責任とるのか考えてから判断したほうがいいよ。再稼動させる立地市町村は、もっと周辺自治体に対しての責任を考えてから判断すべきだと思うよ。自分たちの金目だけじゃ駄目だと思うんだけど、そんなの関係ないってか。


posted by シムサーキット at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 原発事故 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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